「通す」について

一人仕事を長くやっていると

「いつの間にか身についている」ことが沢山ある。

 

しかし、昔の掟 は、今はゆる〜〜くなって、

「それ、ふるくないすか?」なんて言われることもしばしばだ。

 

その一つに、「通す」がある。

スジ とか カオ とか ハナシ とか。

 

20代前半の頃。

 

数年一度の大仕事を必ず依頼してくれる、B子ちゃん。

そのB子ちゃんを通じて知り合ったのが、当時30代前半の若き経営者、

バブル時代の「ヤングエグゼクティブ」(略してヤンエグ)のお兄さん方でした。

 

ヤンエグ兄貴たちはお金持ちで優しくて面白くて紳士的でとても良い人たち。

しかし時の流れとともにその勢いもゆっくりと落ち着いて、B子ちゃんがらみの大イベント、その折にのみ顔を合わせる間柄になっていきました。

 

10年以上経ったある日、B子ちゃんから連絡が入ります。

「(元ヤンエグの)Nさんが、花ちゃんに仕事頼みたいらしいねん。」と。

Nさんとはとても仲良くしていただいていたし、直接の連絡もできる間柄。

飲み会のお知らせなどはいつも直接いただいていました。

 

なのに この度は なぜ、B子ちゃん経由??とNさんにインタビュー。

 

理由は、

 

「仕事の依頼だから」。

 

Nさんの言葉を借りると、

 

「僕が花ちゃんに仕事を頼める間柄になれたのはB子ちゃんがいたから。

プライベートは直接連絡でもええけど、金銭の発生する件に関しては、それを依頼するよ、仕事をさせるよ という事をまずB子ちゃんにお知らせして、了承をもらう。それが他人を介して知り合った人と仕事をする時の スジ やろ?

もう花ちゃんとは知り合いやから友達やから と 飛び越えて直接契約するんは、ハナシのスジがちがうんや。『ええで、当人同士で話してや』と言われる事がわかってて、その上でB子ちゃんに先に話を通す。これがスジっちゅうもんよ。」

 

Nさんはこう話してくれた。

 

B子ちゃんは私の2つほど年上なだけだが、

この「スジ」の話を元よりしっかり心得ていて、

「兄さんたちって、こないに必ずきちんと言うてきてくれはるからしっかり付き合えるんよ。飛び越えて仲良くなるんは全然構わんし、花ちゃんのマージン抜くなんて考えた事もないけど、二人ででっかい仕事してほんでどっちからも報告なかったらさすがに気ぃわるいわな。笑」

 

・・・・そういうことなのだ。

 

反対のアプローチながら、私も常々、スジは通せているか振り返りをする。

 

知り合いの知り合い 的な方から依頼を頂いた時は、

 

「◯◯さんからお仕事の依頼を頂いて今度ご一緒することになりました。あなたのおかげです。良いご縁をありがとうございました。粗相のないよう精一杯やらせていただきます。またご報告させていただきます。」

 

最初に一声かけるだけで自分もすっきり。仕事もスムーズ。心晴れ晴れ。

「事前連絡と事後報告」。

 

 


直接頼んじゃいたい人にしてみれば、「通す」って、

堅い、めんどくさい ってとこでしょうが、

「スジ」を大事にする人は「通す」ことを譲らない。The昔気質。笑

 

私はスジを通す人が好きである。

かたくななまでにスジを通そうとする人をふんわり受け止めている人も好きである。

私自身が自分のマネージメントもしないといけない立場だから、

そんな人たちとの仕事に安心感がある。

幸い、昔気質のいい人たちが周りにいてくれるので嬉しい。


 

 

でもね、畑が違えば目の付け所も違う。人それぞれだから大事にしていること、フォーカスポイントが違うはず。

きっと私も、どこかで誰かに筋を通していないことで気を悪くさせた、そんなことがあっただろう。あれかな、これかな、色々ある。

失敗や取り越し苦労や反省を重ねて、少しずつ勉強していくのだと思う。

 


スジ なんて よくわかんない 別にいいじゃん 的な人が多い昨今だが、

通さないで失敗する事はあっても通して失敗する事はない。


「スジ」とは、ビジネスシーンにおいては 

ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)に通じ、

人と人とが互いを大事にし思い合う、礼節に通じる。 

 

・・・じゃないの?と、おっさん(私)は思う。